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いま、最高の一本に出会える

脚本は、のんと一緒に 『ミライさん』谷口マサトPが語る制作の裏側とLINE NEWSの未来

リアルサウンド

18/9/29(土) 6:00

 「LINE NEWS」による初のオリジナル連続ドラマ『ミライさん』が9月8日から配信され、反響を呼んでいる。のんが主演を務める本作は、今よりちょっとだけ未来を⽣きる家族の、ささやかな⽇常を描くホームドラマ。近い未来で登場しうるテクノロジーと家族をコメディータッチで映し出す斬新な物語はもちろん、移動中でも見られるようにと日本語字幕がついているなどスマートフォンでの視聴に特化した“近未来型ドラマ”となっている。

 今回リアルサウンド映画部では、本作の企画・プロデュースを務めたLINE社のチーフプロデューサー谷口マサト氏にインタビュー。LINE NEWSがドラマを作った理由や、ウェブコンテンツの未来など幅広く語ってもらった。(取材・文・写真=阿部桜子)

ーー率直に聞きますが、なぜLINE NEWSがドラマを手掛けたのですか?

谷口マサト(以下、谷口):JK用語を取り入れた「ワンチャンワンドキ!JK用語でJKの1日を再現してみた」など、昨年からLINEブランドを訴求するバズ動画を作成してきました。それからシリーズ動画というのをLINE NEWSで作れないかという構想を、島村武志(上級執行役員 メディア担当)と話して、今回のドラマ制作に至ったということになります。

ーーなぜシリーズ動画を手掛けようと思ったのでしょう?

谷口:ネットでバズる動画は、世間への影響力に限界があります。あるあるネタ一発で終わる短尺・短命という点に加え、バズるかバズらないかは保証できない。なので、ネットの動画やコンテンツが世間への影響力を増すためには、多くのユーザーが見ている中でシリーズ展開しなければ限界があるなと感じていました。それを満たすのがLINE NEWS上で展開するシリーズ動画だったんです。今後は連続ドラマに限らず、テレビの5分番組などもイメージして制作しようと思っています。テレビの文法をスマホに置き直そうとしているところです。

ーーテレビの文化をスマホへ移行するということでしょうか?

谷口:はい、娯楽の中心が映画だった時代、2時間の映像を見続けるのは普通だったと思います。しかし映像メディアの主役がテレビへ変化した時、「2時間は長い」という感覚も生まれました。もちろん没頭するのに、映画は良いのですが。この先ネットで5分~10分の番組が増えてくると、「テレビドラマの60分って長いね」という感覚が生まれてくるでしょう。

ーー『ミライさん』が10分強という時間には狙いがあったのですね。

谷口:そうですね。それでも、まだまだ長いという意見もあります(笑)。でもドラマを短くするにも限界があるので、数回に分けて見せる魅せるという方法も考えています。例えば『週刊少年ジャンプ』のストーリー漫画は1回19ページが基本です。1話完結のストーリーもありますが、何週間かで結末に辿りつく場合もあります。

ーーそれでは今回未来を舞台にしたのも何か理由があったのでしょうか?

谷口:未来を題材にした物語は、だいたいディストピア(悲惨な未来)です。天国よりも地獄を描いたほうがページビュー数は上がるので気持ちは分かります(笑)。画力やインパクトが違いますからね。でも、『ミライさん』の場合は“明るい未来”というテーマを掲げ、視聴率よりもメッセージを届けるというのを主体にして今までと違うものを作ってみようとしました。単に視聴率だけ狙って作ると従来と似たコンテンツが出来上がってしまうんです。LINE NEWSは、利用者6,300万人(2018年3月時点のMAU)で影響力が強いため、暗い未来を見て沈むよりは、明るい未来を描いたほうがいいかなと。なので、視聴者から「元気になった」という声を頂いているのは、素直に嬉しいです。

ーー視聴率に左右されないドラマ作りということですね。

谷口:視聴率も欲しいのですが(笑)、それだけではないということですね。LINE NEWSでは、どのようなユーザーが見ているか、そしてユーザーがコンテンツを見てどのような態度変容が起きたかを調査できます。番組のメッセージが届いているかを数値化できるのも強みです。

ーーなるほど。本作は近未来が舞台ですが、セットが古民家風というギャップも面白い点でした。

谷口:近未来を作るのが結構大変で、中途半端に変に作ると安っぽくなってしまいます。なのであえてギャップを狙いました。「明るい未来」というテーマに合わせ、明るい配色にしています。登場人物もみんな明るい。今回制作していて面白かったのは、のんさんの意見をかなり取り入れたところですね。本当に助かりました。最初の段階でミライさんはもっと良い人だったのですが、のんさんから「もっとクズでいい」と言われ、ディスカッションしながら一緒に脚本を仕上げていきました。

ーーのんさんの意見が反映されたドラマと言っても過言ではないのですね!

谷口:演者の言うことを聞いているときりがないので、お願いしたことをやってもらう方が良いという意見もあると思います。ネットドラマってまだまだ小さい規模ですから、逆に小さいことを活かして柔軟に対応しながら作ってもいいじゃないかと思っています。

ーー恋愛ものではなく、あえてホームドラマというのも狙いがあったのでしょうか。

谷口:LINE NEWSは様々な方が見ているので、まずはどんな年齢でも楽しめるドラマ作りを目指しました。ただ特定の属性の方だけに番組を届けることもできるので、今後はよりターゲットを絞ったものも試みたいと思っています。あとはホームドラマって最近見ないので、この機会に新たな家族像を描いてもいいかなと思ったんです。

ーー第1話でロボットが恋人になるというあり得る設定にも惹かれました。

谷口:やっぱりロボットって描きやすいんですよ。例えば『義母と娘のブルース』(TBS系)は感情を殺してきた女性を通して、人間の感情とはなにかを問うドラマだったと思います。同じようにイノセンスなロボットを通して見ると人間の感情を描きやすいんです。

ーー実は、LINE NEWSが手掛けるドラマと聞いた時、てっきりタテ動画縦画像になるのかと思っていたんですよ。

谷口:タテ動画もヨコ動画も、それぞれの良さがあります。タテっていうのは、主観とか人を全身映すのには良いのですが、状況を映し出すのには向いていません。今回『ミライさん』は世界観が未来ということで状況説明が多いので、たまたまヨコにしただけです。なので今後タテの動画を作ることもありえます。

ーーそれでは、今後も動画コンテンツは作り続けていくということですね。

谷口:ドラマ以外の番組もどんどん挑戦しようと思っていて、それが教育番組でもドキュメンタリーでも何でもいいと思っているんですが、スマホならではの文法を追求しようと思っています。SNSとの接点を増やすというのも狙いの一つです。60分のテレビドラマってもったいないなと思っていまして、1話放送されるとSNS上で「この話よかったよね」という1つだけでのつぶやきでが終わってしまう。もっと分割すればあのパートよかったよねっていう話題に広がるはずですよね。ひとまとめに出すのではなくて、もっと輪切りにしてあげればSNSとの接点も増えて話題性も高くなるのではないでしょうか。

ーー言われてみればそうですね。LINE NEWSのシリーズ動画ですが、今後の作品にも期待してもよろしいでしょうか。

谷口:ぜひ(笑)。『ミライさん』ってが呼び水となり、ありがたいことにクリエイター、芸能人、広告主からたくさんの声を頂いています。やはり1つ例があると分かりやすいですね。今後の作品もいくつか動いている状態です。

ーーLINE NEWSはクリエイターを育てる場としても発展していくのでしょうか?

谷口:その通りで、面白いクリエイターが集まる場になれば良いなと思っています。5分番組だと実験もしやすいですしね。まずはやってみて、ダメなら止めればいいし、上手くいけば続ければ良い。小ささを最大限に活かしたコンテンツづくりができればいいですね。

ーーLINE NEWSは挑戦心のあるクリエイターを、ウェルカムということですね!

谷口:才能は常に探しています!ぜひ!