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ぴあ

東京物語

黒澤明、溝口健二とともに日本を代表する映画作家・小津安二郎の代表作といえばこの「東京物語」につきるだろう。小津がサイレント期から描き続けてきた親子関係のテーマの集大成ともいえる作品である。地方から老いた夫婦が上京し、成人した子供たちの家を訪ねる。子供たちははじめは歓迎するが、やがて両親がじゃまになって熱海に行かせたりして厄介ばらい。戦死した息子のアパート住まいの未亡人だけが親身になって面倒をみてくれるという皮肉。やがて老夫婦は田舎に帰るが、その直後、妻は急死してしまう。一人残された老人は、静かに海を見つめて……。戦後の日本における家族生活の崩壊を描いた、と監督本人が語るこの作品は、人間の孤独感、死生観といったテーマまでをも取り込み、味わい深い作品となった。志賀直哉を深く愛した小津監督は、『暗夜行路』にちなんで尾道市をラスト・シークエンスの舞台に選んだが、その尾道の寂れて、どこか温かい風景が、この厳しいテーマを繊細に包み込み、忘れることのできない画面を生み出した。

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