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ぴあ

幻影は市電に乗って旅をする

廃車寸前のオンボロ市電、133番。交通局は新車と交換の時期がきたと判断し、解体工場行きを命令した。それにより、133番に乗車していた車掌のファン・コディネスと修理工のタラハスもまた職を失うことになってしまう。最後の夜、二人は気晴らしに飲みに出かけ、酔っぱらったまま市電を動かす。次々と乗車してくる人々。キリストの像を持った修道女や孤児院の子供たち、外国人やロバまでもが市電に乗り込み幻想的な夜の中を走り抜けていく……。同じく、ブニュエルが乗り物を舞台にした映画「昇天峠」に見られるような荒唐無稽さはなく、むしろイタリアン・ネオ・レアリスモに通じるような、ある重みをそなえている。しかし、夜の街を走る市電は、幻想とも現実とも知れぬ世界へと、観る者を誘い込んでいき、シュールレアリスム的ともいい得る物語の展開と市電の光景が、この映画を、多彩なブニュエル作品にあっても異色の一編とならしめている。

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